マルソリ・ラボ
言語学、音声学、日本語、韓国語など。
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新たなスタート
エディンバラ城に行ってきました。


エディンバラ城からの風景



↑お城からはエディンバラの市街がよく見渡せます。

エディンバラには,別に観光で来たわけではありません。日本学術振興会の海外特別研究員としてやって来ました。海外特別研究員になると,海外の研究機関で2年間研究を行うことができます。どこに行くかは,自分で海外の機関と交渉して決めます。それで私の場合,エディンバラ大学を選んだという次第。

そんなわけで,1月22日にエディンバラにやって来ました。新たなスタートです。英語もままならない状態で初めての英語圏での生活。どうなることか…。


エディンバラ大学



↑エディンバラ大学の中。Linguistics and English Languageの事務室は右の建物に,私の研究室は左の建物にあります。
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エディンバラ
イギリス・スコットランドのエディンバラにやってきました。


エディンバラ2




エディンバラ3



韓国滞在を振り返る (4):研究のこと
「韓国滞在を振り返る」の4番目です。これまでの記事はこちら(123)。今回は研究について。

以前の記事で書いたように,これまでは自分自身の研究に関して物足りなさを感じていました。限られた時間と狭い知識。そのために,手っ取り早くまとまるような研究テーマを選びがちだったと思います。でも,本当はもっと別の方向に広げていきたい思っていたわけです。だから,フェローシップが始まる時点で考えたのは,十分な時間を手にした今,そういった研究に踏み出そうということでした。

具体的にどういう方向の研究を考えていたというと… やや専門的になりますが,次のようなことです。(ちなみに,私の研究内容をもう少しかみくだいて書いたものが,別のページにあります。参考までに。)

***

私の主たる研究テーマは,韓国語ソウル方言の韻律です。これまでは,音響分析によって主に基本周波数(音の高さに対応するもの)を調べるとともに,そのパターンを理論的に考察してきました。新たな研究として考えていたものも,この延長線上に位置づけられるものです。これには大きく分けて2つあります。

1つは「離散性」(discreteness)の問題。離散性とは何か,なぜ離散性を検討することが重要なのかについては,かなり専門的な話になってしまうので,ここでは省略します。ともかく,離散性を扱うには単純な音響分析だけでは不十分で,もっと別のアプローチが必要になります。でもそれには,別のタイプの実験を方法論から身につける必要があるわけです。

もう1つは他の方言。特に慶尚道方言。慶尚道方言は日本語に似た示差的アクセントを有する方言として有名で,そのためこの方言の韻律に関する先行研究は山ほどあります。でも,私が知る限りその大半は語のレベルからのものでした。文のレベルでは未発見の興味深い現象がいろいろあるのではないか ― いわば研究テーマの宝庫ではないかと思ったわけです。さらに言えば,そういった現象を通じ,間接的にソウル方言の研究を見直すことになるのではないかとも思いました(これは以前の記事にも書きました)。ただ,私自身これまで慶尚道方言についてほとんど知識を持っていませんでした。研究を行うとすれば,ゼロに近い状態からのスタートであったわけです。

***

そんなわけで,この2つのテーマを研究することに決め,韓国に渡りました。それで,実際にやってみてどうだったかというと:

離散性:6月に具体的な準備をはじめ,6月下旬から8月上旬にかけて被験者を呼んで実験を実施。10月に韓国の学会で発表しました。結果は面白いといえば面白いものの,予想外のもの。第二弾以降が必要ですが,そこまではできず。

慶尚道方言:慶尚道出身の大学院生と5月に勉強会をスタートさせ,文献の読み込みを開始。勉強会のメンバーと簡単な実験を考え,8月中旬に実験し,10月に日本で発表。簡単な実験のはずが,案外すっきりとはいきませんでした。さらにいろいろな文献を読み,12月に個人研究として別の調査を。この結果がまとまるのは,まだ先になると思います。この方言に関しては,山ほどあるテーマのうちほんの少ししか実際に調査できませんでした。ほぼゼロからのスタートだったことを考えれば,これは仕方ないのかもしれません。

全体として,当初考えていた最低限のことはできたと思います。それぞれについて学会発表もしました。ただ,いろいろできるのではと考えていたわりには,たいした成果は挙げられなかったと思います。これについて自分なりに理由を考えてみました。

・テーマがこれまでと違う
2つのテーマとも,これまでとはかなり違うものでした。そのため,基礎を学ぶことから始めなければならず,実際の研究に辿りつくまででも時間がかかったわけです。

・テーマが難しい
そもそも,簡単に結論が出るようなテーマではないのかもしれません。良い成果を出すには,地道にやっていくしかないのでしょうね。

・原稿執筆・発表準備に時間がかかる
韓国に来てからは,ほとんどの論文を英語で書きました。日本語で書けば韓国の多くの研究者に読んでもらえないし,韓国語で書けば日本の(韓国語を専門としない)研究者に読んでもらえないからです。でも,英語は得意なわけではないので(高校時代はいちばんの苦手科目でした!),かなり時間がかかったわけです。さらに,口頭発表を英語や韓国語でする機会もかなりあったので,それにも時間が・・・。

・他の仕事に時間をとられる
自分で計画していたこと以外に,原稿執筆や発表の依頼が来たりします。昔はこちらがやりたくても何の話も来なかったので,依頼が来るというのはうれしいことです。しかも,内容的にも魅力的な仕事が多いです。そんなわけで,頼まれた仕事は多くの場合,よろこんで引き受けています。ただ,それに伴って,その仕事に時間をとられ,中心的な研究テーマに割く時間が減っていくのもまた確か。

どれも仕方のないことですね・・・。結論として悟ったのは,「9ヶ月はとても短い」ということです。

さて,「韓国滞在を振り返る」はひとまずこれで終わりにしたいと思います。今は日本に帰国し,次のための準備をしているところです。「次」の予定については,知っている人は知っていると思いますが,このブログではまだ書かないことにしたいと思います。

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韓国滞在を振り返る(3):韓国国際交流財団滞韓研究フェローシップ
韓国滞在を振り返る記事(12)のつづきです。

今回の9ヶ月の韓国滞在期間は,韓国国際交流財団の滞韓研究フェローシップというものを受けていました。韓国国際交流財団は,日本の国際交流基金と似たようなものだと思います。韓国文化の海外への発信と外国文化の紹介を目的とした政府系の財団のようです。いろいろなフェローシップ事業を行っていて,その1つに滞韓研究フェローシップというものがあります。

滞韓研究フェローシップの対象はかなり広いです。こちらに来て私と同様のフェローシップを受けている人に何人か会いましたが,実際いろいろな人がいました。
・資格:大学院博士課程以上。博士論文執筆中の大学院生から大学教員まで様々な人がフェローシップを受けています。私のように博士号を取得後で常勤の職を得る前の,いわゆるポスドクのような身分の人はまれなようです。
・国籍:特に制限はないようです。世界中から募集していて,いろいろな国から来ています。日本人はあまりいないようで,私のほか一人しか会いませんでした。
・分野:人文・社会科学。特に社会科学の人が多いような印象を受けていました。私のように言語学専門で,しかも実験をしたりするような研究者は珍しいと思います。そのため,私のしていることを他のフェローに話しても,なかなか理解されません。まあ,これはいつものことですが。

さて,フェローシップを受けることになった場合,財団がしてくれるのは,ビザ(「D-1 文化芸術」というかなり珍しいもの)を取得するための書類の発行と,滞在費の振り込みです。研究費を別途もらえるわけではないので,滞在費の中から自分でやりくりしなければなりません。

研究は,フェローシップ申請のときに決める研究協力者と相談の上,各自勝手に進めます。私はこの研究協力者の先生の配慮で研究室に机を割り当ててもらいましたが,こういう環境が得られるかどうかは,全て研究協力者(あるいはその協力者の所属する機関)次第です。財団が何かしてくれるわけではありません。フェローによっては,どこかの大学図書館に通って閲覧室で勉強や研究をしたり,あるいは自宅にこもって研究したりしているようです。理系(特に実験系)だったらありえないような話ですが…まあ,このフェローシップは文系対象のものなので,皆これが普通だと思っているようです。ともかく,この点において私はとても恵まれていたと思います。

ただ,私の場合も問題がなかったわけではありません。研究室に出入りし,机も割り当てられていたものの,その研究機関に正式に登録することができませんでした。韓国国際交流財団の方では,そういうことを制限しているわけではなく,むしろどこかの機関に登録されることは好ましいと考えているようです。でも,出入りしていた高麗大の研究所では,私のような立場の者を登録する制度がなく,登録することができなかったわけです。これに伴って生じる問題は,大学図書館で本が借りられないということと,「○○研究室研究員」のような肩書きを名乗ることができないということです。

このへんのところ,韓国社会のあらゆる部分に共通する問題のような気がしてなりません。制度のあちこちに不備があり,それを個々人の裁量で補っているのです。まあ,韓国社会は個々人の裁量がきく部分が大きく,それによって社会がちゃんとまわっているので,いいのかもしれませんが。私の場合も,肩書きは形式的なことに過ぎないし,図書館に本を借りるのは誰かに頼めばいいことなので,実質的な問題はなかったわけですし。

さて,各自研究を進めるほかに,フェローはいろいろな行事にただで参加させてもらえます。「지방답사(地方踏査)」と呼ばれる旅行が春と秋の2回あるほか,芸術の公演をみたりとか。これらの参加は義務でありませんが,私は旅行には2回ともしっかり参加しました。せっかくの機会ですし。そのときのことは,以前に書きました()。

フェローシップの話はここまで。
次はかんじんの研究のことを書こうかと思います。

新年
新年あけましておめでとうございます。

なんというか,奇妙な感じです。つい1週間前は,年末という実感が全然わきませんでした。帰国の準備で追われていたということもあるし,韓国で1月1日やその前後というのがさほど重要な日ではなかったということもあるでしょう。(韓国では旧正月の方がもっと重要です。)それが日本に帰国してみると,親戚がやってきたりとかテレビでお正月番組がつづいたりとかで,すっかりお正月ムードです。

ここに来てようやくお正月ムードは薄れてきました。とはいえ,日常に戻るかというと,今の私にとっては決してそうではありません。今は韓国から帰国し,次のステップまでの準備期間。早く日常の研究生活に戻りたいのですが,まだしばらくは落ち着かない日々が続きます。

新年最初の記事。せっかくだから今年の抱負でも書いたらいいのかもしれませんが…あまりそういう気になれないのは,暦の上での節目と自分の生活における節目が違うかもしれません。もう少ししたら,その節目がやってきます。そのときになったら,何か書くかもしれません。

その前に,年末に書いていた韓国生活の総括も,まだ終わっていませんね…。また後で書きます。

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