マルソリ・ラボ
言語学、音声学、日本語、韓国語など。
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大韓音声学会・韓国音声科学会 共同学術大会
今年(2007年)の春は,韓国の音声学系の2学会 ― 大韓音声学会韓国音声科学会 ― が共同で大会を開くそうです。

日時: 2007年5月18日 - 19日
場所: 원광대학교

連絡を受けてちょっとびっくり。この2つの学会,これまで参加者が相補分布していたのです。けっこうすごいことかもしれない今回の大会,私はイギリスにいて参加できません。残念です。
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Silva (2006)
D. J. Silva (2006) Acoustic evidence for the emergence of tonal contrast in contemporary Korean. Phonology 23, 287-308.

要旨を読んだだけですが,おおまかな内容は把握できました。

現代韓国語(ソウル方言)において,音調の対立が生じつつあるという話。平音ではピッチが低く,激音・濃音ではピッチが高いという現象を扱っています。この現象自体は韓国語音声の研究者にとってはよく知られているものです。ただ,この論文の特徴は,幅広い世代の発音を調べることで,変化の様相を捉えた点にあると思います。つまり,世代が下がるにしたがい,平音と激音のVOTの違いが少なくなり,その反対にピッチの違いが顕著になっているということです。

私自身以前から感じていたことなので,先を越されたという気持ちがなくもありません…。日本ではソウル方言の音声を研究している人はとても少ないですが,海外では研究競争がけっこう激しくなってきているのかもしれませんね。

ロンドン!
3月の最初の週末にロンドンに行ってきました。はじめてのロンドン,はじめてのイングランド。


ロンドンのチャイナタウン


↑ロンドンにはチャイナタウンがあります。


トラファルガー広場


↑夕方のトラファルガー広場

実のところ,これも論文提出直前に忙しかった理由の一つ。本当はこんなはずじゃなかったんです。もともとの論文の締め切りは2月末でした。それを無事終えて余裕のあるときにロンドンに行くという計画だったのですが,論文の締め切りが1週間のびたため,こういうことになったわけです。

テーマ:イギリス - ジャンル:旅行

英語学校
先月からこっちの英語学校に通っています。英語力を伸ばさないといけないし,研究室にこもっていないでいろいろな人に会いたいというのもあって。特に,大学の中では見かけない韓国人に会えるんじゃないかと。

大学の中では韓国人を本当に見かけません。中国人はたくさん見かけますし,日本人もちらほら見かけるのですが…。アメリカには韓国人がたくさんいるでしょうし,イギリスでもロンドンには多いはず。でも,ここでは韓国人はとても少ないようなのです。それだけ韓国人はアメリカ志向が強いということなのか…。

でも,英語学校にはやはりいました。私の入ったクラス,全部で8人の学生うち,2人が韓国人。さっそく休み時間に韓国語で話しました。こちらで韓国人に韓国語で話しかけると,すごく驚かれ,そして珍しがられます。これが韓国だったら,「韓国語上手ですね」ぐらいで終わるわけですが。

さて,私のクラスの学生を国別に見ると,中国人1人,台湾人1人,韓国人2人,日本人2人(私を含めて),イタリア人2人。英語学校の中では東アジア以外の人もけっこう見かけますが,私のクラスの東アジア人比率が高いのは,レベルが高いからなのか低いからなのか?それはともかく,ヨーロッパ人でも英語のあまり出来ない人がいるんだということは,この学校に来てはじめてわかりました。これまで日本や韓国で会ったヨーロッパ人は皆流暢な英語を話していたし(ロシア人を除く),こちらの言語学科の人たちなんかは,誰がネイティブで誰がノンネイティブなのかわからないくらい皆英語が上手なので。

授業は毎日午前中にあります。コースによってはさらに午後もあるのですが,さすがに私は研究をしなければいけないので,午前だけのコースにしました。それでも,毎日一日の半分を研究以外に費やすというのは,けっこうたいへんなことです。以前の記事で書いたように2月の後半は論文の執筆をしていたのですが,この執筆がなかなかはかどらなかった原因の一つは,ここにあったわけです。毎日半日授業を受けるだけでもたいへんなのに,その上に宿題が毎日しっかり出たりしますし。さすがに論文の締め切り直前は,英語学校をちょっとサボってしまいました。

こちらに来る前から考えていたのは,最初の半年はとりあえず英語力の向上に力を入れ,その後の研究生活を有意義なものにしようというもの。こうやって,その努力をしているわけですが,ちゃんと向上しているのかはよくわかりません…。

Arvaniti et al. (2006)
A. Arvaniti, D.R. Ladd, and I. Mennen (2006) Phonetic effects of focus and "tonal crowding" in intonation: Evidence from Greek polar questions. Speech Communication 48, pp. 667-696.

Introductionの最初の方で,最近のイントネーション音韻論の動向についてまとめています。とりあえずその部分だけ。




AMアプローチの基本的な考え方



Bruce (1977) やPierrehumbert (1980) に代表される "autosegmental-metrical" (AM) なアプローチの基本的な考え方:

Toneと分節音・音節は一対一の対応をなさない。ある音節に複数のtoneが連結する一方で,別の音節にはtoneが指定されなかったりする。Targetとtransition。

ここから導かれる二つの帰結:
1. イントネーションの全体的な形状は特別な地位を持たない。(イントネーションはtoneの組み合わせによってつくられる。)
2. イントネーションの機能は直接量的な音声的パラメターと対応するわけではない。(両者の間には音韻的なtoneが介在している。)

AMアプローチに疑問を投げかける最近の研究



<Target-transitionに関して>

Xu (2005), Xu and Xu (2005)
・英語において,toneが指定されない部分にはinterpolationが生じるわけではない。
・非アクセント音節には[mid] targetが指定される。
・[mid] targetは "near the level of the habitual pitch"であり,積極的に制御される。

<ピッチ曲線はtoneの産物?>

Grabe et al. (2005)
・ピッチの全体的形状はF0平均や傾斜といった連続的な音声的パラメターによって決められうる。
・例えば,(いくつかのイギリス英語の方言において)質問(questions)と陳述(statements)の区別に大きく関わるのはF0平均である。

Xu (2005), Xu and Xu (2005)
・イントネーションを生み出す4つのmelodic primitives:pitch target, pitch range, strength, duration。
・例えば,フォーカスを示すのはpitch range and spanである。




この論文では,GrabeらやXuらのような反AM的な立場に反対し,AMアプローチを支持する実験結果を出しています。また,AMアプローチにおけるpitch rangeの位置づけについても論じています。(これは,Ladd 1996の4.4.2と7章でも論じられている議論です。)


韓国語教育論講座,まもなく刊行
近々,くろしお出版から『韓国語教育論講座』というシリーズが刊行されます。情報が野間先生のページにアップロードされていました。

野間秀樹研究室(東京外国語大学) > 『韓国語教育論講座』のページ

全4巻で,第1巻は2007年4月に刊行されるとのこと。楽しみです。

なお,第1巻には私の論考も含まれています。「音響音声学からの接近」というタイトルで執筆しました(上のページから執筆者とタイトルの一覧を見ることができます)。内容は,音響音声学の方法論の基礎と先行研究のまとめ。特に,私がこれまで主に研究してきたソウル方言の韻律・イントネーションについて詳しめに扱ったつもりです。これまで専門的な学術論文以外では接することの難しかった情報をいろいろと含んでいると思います。

例えば,

・韓国語のイントネーションの特徴って何?
・発音をパソコンで分析するには何からはじめたらいい?

といったことから,

・韓国語の音声学研究では何が明らかにされ,何が今後の課題なのか?

といったことまで,役に立つ情報を提供できるのではないかと。手前味噌ではありますが…。

もちろん,限られた字数の中,書きたくても書けなかったこともたくさんあります。そういったことは,今後別の形で世に出していければと思っています。

それにしても,執筆者一覧を見ると,なんだか私だけういているように見えます。一人だけ所属が日本でも韓国でもないし,朝鮮語学・韓国語学の世界ではほとんど無名だろうし… 「誰だこいつ?」とか思われるかもしれません…。

[韓国語教育論講座,まもなく刊行]の続きを読む

テーマ:韓国語 - ジャンル:学問・文化・芸術

論文を投稿するまで
ここのところ,某国際会議で発表するために,論文を書いていました。

論文の分量はA4で4ページ。申し込みと同時に4ページの完全原稿を提出しなければなりません。その締め切りが今週の水曜で,なんとか無事提出したところです。提出した論文はこれから審査され,約2ヶ月後に採否の通知を受け取ることになります。

ここエディンバラ大学では,その国際会議に申し込む人が何人かいたので,ある先生が中心となってコメントのシェアリングというのをしました。どういうものかというと,
・学内の締め切りをもうけ,その締め切りまでに取りまとめ役の先生に各自が草稿を送る
・取りまとめ役の先生が,集めた草稿を適当な人にまわす(一つの草稿につき,2人ほど)
・自分のところに草稿がまわってきたら,それを読んで著者に簡単なコメントを送る
... ざっとこんな感じです。
論文というのは,他人にざっとでも目を通してもらうと,思わぬミスが見つかったりするもの。だから,投稿前に誰かに見てもらえるというのは,とてもいいことだと思います。おまけに,こういうシェアリングの場合,自分がコメントをもらえると同時に,自分自身も誰かにコメントをするわけで,いわばギブアンドテイク。音声研究者が多いからこそ可能になることです。音声研究者の多い(しかも皆レベルが高い!)エディンバラに来て本当に良かったと実感した数日間でした。

それにしても,提出までの数日間はかなりあわただしい日々でした。授業を担当している他の人たちと違い,私は研究だけに専念すればいい身分なので,もっと余裕があっていいはずなのですが…。余裕がなくなってしまう一つの大きな原因は,英語で論文を書くことに不慣れであることでしょう。実は他にも原因があるのですが…これについては,また後で。

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