マルソリ・ラボ
言語学、音声学、日本語、韓国語など。
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高低変化のない方言?
韓国語ソウル方言の韻律を研究していると、ネイティブの人からよくこんなことを言われることがあります。「ソウルの言葉の発音は、高低の変化がなくて平坦だよ。」

先日、馬山(慶尚南道)のネイティブの人と話していたら、今度はこんなことを言われました。「慶尚道の方言は高低変化がなくて平坦なんだ。ソウルみたいに高低変化のある言葉とは違ってね。」
・・・これって、上のソウルの人たちが言っていた話と全く正反対です。いったいどういうことなんでしょう?

実際に研究している立場から言うと、どちらの方言にもちゃんと高低変化があります。違うのはそのパターンであって、一方にあって一方にないというものではありません。ではなぜ、自分の言葉にはそれが無いと感じるのか?私は、こんなことを考えてみました。きっと、自分の話す言葉というのはふだん意識しないので、そこに何かが「ある」とは感じないのだろう。でも、自分が普段しないような高低パターンの発音を他の言語・方言の話者がするのに遭遇したとき、そこに違いを感じ取り、高低パターンが「ある」と感じるのではないか。

慶尚道の人がソウルの発音に対して高低変化を感じるのには、もしかしたらもう一つ理由があるかもしれません。慶尚道方言は豊かなアクセントを持っていますが、イントネーションは反対にあまり豊かではありません。それに対して、ソウル方言はいわゆる無アクセントである一方で、文末にとても豊かなイントネーションを持っています。馬山の人が言っていたソウルの高低というのは、豊かな文末イントネーションのことを指しているのかもしれません。

他の言語ではどうなんだろう、というのも気になります。日本語の話者は、自分の方言や、他の方言に対してどういう感覚を持っているんだろう?私自身は音声学の世界にどっぷりつかりすぎて、そういう素朴な感覚がわからなくなってしまいました。
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テーマ:韓国語 - ジャンル:学問・文化・芸術

冬の韓国
陰鬱なスコットランドから,韓国にやって来ました。遊びに来たわけではありませんよ。調査のためです。

一年ぶりに慶尚南道の馬山に。下の写真は馬山駅周辺で撮ったものです。韓国の地方都市にありがちな光景ですが,イギリスからやってくると,全くの別世界だなあとつくづく思います。


馬山駅前1




馬山駅前2


↑これも馬山駅周辺。刺身の店(횟집)がたくさんあります。


チョド蓮陸橋


↑馬山市南部,亀山面のチョド蓮陸橋(저도연륙교)から撮った風景。

冬の韓国は,寒いけれど,天気がいいのがうれしいです。

テーマ:韓国旅行 - ジャンル:旅行

正規化が必要になるとき(2)
音声学における正規化に関して,以前の記事のつづきです。

持続時間やインテンシティの正規化については,私はあまりよく知らなくて,唯一知っているのはCampbell and Isard (1991), キャンベル (1997) によるものです。

これは,前にF0に関して書いた中でとりあげたのと同様,Zスコアを利用したものです。ただし,分節音による内在的な差異(例えば,同一条件下では,[a]は[i]より長くなる)を考慮し,各話者の各分節音ごとにZスコアを算出しています。

ちなみに,Zスコアというのは,ある値から全体の平均を引き,標準偏差で割った値のことです。統計を勉強するとよく出てきます。

この方法,もしかしたら前にコメントされた方への答えになるのかもしれません。ただ,本当に正規化をする必要があるかどうかは,やはり目的に応じて検討するべきだと思います。アプローチの仕方はいろいろありますので。

特に,どういった類のデータに適用するかに注意すべきだと思います。平均値と標準偏差を利用するので,一文とか二文といった少ない量のデータしかない状況では,適用したらおかしなことになってしまうはずです。データベースのように大量のデータを扱うときには有効でしょう。

ちなみに,上の論文では,韻律情報の自動識別という工学的な目的があるようです。そういう場合には,確かにこういうことが必要になってくるのでしょう。




参考文献



キャンベル,N. (1997) 「プラグマティック・イントネーション:韻律情報の機能的役割」音声文法研究会(編)『文法と音声』くろしお出版.

文法と音声 文法と音声
音声文法研究会 (1997/05/23)
くろしお出版

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Campbell, W.N. and S.D. Isard (1991) Segment durations in a syllable frame. Journal of Phonetics 19, 37-47.

韓国語の方言辞典
韓国語の方言を研究する上で,方言辞典があると便利かも…と思って,教保文庫(韓国の大手書店)のサイトで検索してみました。

私が興味を持っている,南部地域を中心にまとめてみると,以下の通り。

전라도 방언사전
주갑동 지음, 신아출판사, 2005년 04월

방언사전
김병제 지음, 한국문화사, 1995년 12월

전남방언사전
이기갑 외 지음, 태학사, 1998년 02월

한국방언사전(증보)
최학근 지음, 명문당, 1994년 08월

경북방언사전
이상규 편 지음, 태학사, 2000년 12월

방언사전
김병제 지음, 대제각, 1991년 09월

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