マルソリ・ラボ
言語学、音声学、日本語、韓国語など。
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進行中のmerger
もともと弁別されていた2つの音素が1つの音素になるような通時的変化を,mergerといいます。(日本語でなんて言うのかな・・・?)例えば日本語では,その昔「エ」と「ヱ」が異なる母音だったのが,今では1つになっています。でも,あるとき突然2つが1つになるわけではなくて,1つになりかけている途中の段階というのがあったりします。そして,途中の段階では,奇妙なことが起こったりします。それが私が発表しようとしているトピックでもあります。

私が扱っているのは,厳密に言えば2つの「音素」ではなく,2つの音調の型です。対象としている言語は,韓国語の馬山・昌原方言。(たぶん,同じことが広く慶尚南道東部に言えるのではないかと思いますが。)7月はじめ(来週!),LabPhonという国際会議で発表します。(なお,この発表に関することは,以前の記事でも書きました。)

LabPhon 11
私の発表要旨(PDF)

で,先日,ポスター発表の予行演習をしました。もともとあまり自信が無かったネタなのですが,見に来てくれた先生二人から面白いと言ってもらえて,だいぶ自信が出てきました。

さらに,そのうちの一人の先生から,関連する情報を得ました。なんでも,Paul Warrenが進行中のmergerについての研究をしているとのこと。調べてみて,こんな論文をみつけました。

Jennifer Hay, Paul Warren, and Katie Drager (2006) Factors influencing speech perception in the context of a merger-in-progress. Journal of Phonetics 34.

ニュージーランド英語における2種類の母音のmergerの話です。要旨をざっと読んだだけですが,exemplar-based modelと結びつけて論じているようです。やはりそういう方向に議論が向かうんですね。

面白そうだけど,今はすることがいろいろあって,じっくり論文を読む時間がないです。学会に向かう飛行機の中ででも読もうかなあ・・・。
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ピンカー講演会
講演会に行ってきました。大学主催の規模の大きな講演会です。

講演者は心理学者のスティーブン・ピンカー。心理学と言語学の間の学際的な研究をいろいろしているので,言語学の世界でも有名人です。一般には,The Language Instinct(邦題:『言語を生みだす本能』)という本の著者として有名だと思います。(というか,私もピンカーの著作はこれしか読んだことがないのですが。)

言語を生みだす本能〈上〉 (NHKブックス)
言語を生みだす本能〈下〉 (NHKブックス)

この講演会のことは,ちょっと前にLanguage Logという有名なブログの中で,Geoffrey Pullum(昨年からエディンバラ大学の教授)が宣伝していました。私もここに書かれているように,事前にインターネットで予約をしました。

Language Log > Steve Pinker in Edinburgh: get your tickets now

そんなわけで,行ってきました。会場は,McEwan Hallというホール。ホールに関するページにちょっと写真がありますが,こんな感じで内部は荘厳な雰囲気です。そして大きい。そのホールがほぼ満員になっていました。会場を見渡すと,いろいろと知っている顔を見かけたり。

そんなわけで開始までの間きょろきょろしていたのですが,いつの間にか開始の時間が近づいたのでしょう。気がつくと,講演者が正面の壇上に座っていました。その隣にはGeoffrey Pullum。二人ともスーツを着てネクタイを締めていました。大学の先生がスーツを着てネクタイを締めているのって,こちらではなかなか見ない光景です。国際会議でもみんなラフな格好だったりしますので。それだけに,今回の講演会がいかに特別なイベントなのかがわかります。

そして始まり。まず総合司会(?)の人が,チェアマンのGeoffrey Pullumを紹介。つづいて,チェアマンが講演者を紹介。長めの,力の入った紹介でした。

講演の題は,"The stuff of thought: Language as a window into human nature"。ピンカーの最新の著作,The stuff of thoughtのエッセンスを紹介,みたいな感じのものでした。

The Stuff of Thought: (Penguin Press Science)The Stuff of Thought: (Penguin Press Science)
(2008/06/05)
Steven Pinker

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言語 ― とりわけ意味についての話です。どういう話かは,私が説明するよりも,本を読んでいただいた方がいいでしょう。(というか,私が説明する自信がないだけです。)

私も本をちょっと見てみました。講演の内容は,その中でも特にわかりやすくて笑いがとれそうなところに絞った,という感じでした。例えば,悪口雑言をめぐる考察など。Fで始まる言葉の連発に,会場大うけでした。うまいな,と思います。

エディンバラ大学で行われた過去の講演が,以下のサイトから見られます。(チョムスキーも来たんですね。)今回のピンカーの講演も,いずれ公開されるのかもしれません。

Explore Events at The University of Edinburgh




ところで,言語学が心理学と近い関係にあるというのは,専門外の多くの人にはピンと来ないかもしれません。言語学といってもいろいろなのですが,その中でも心理学と近い方向のものが,20世紀半ばにチョムスキーが登場して以降さかんになりました。心理学だけでなく,情報工学や脳科学なんかとも関係があります。でも,多くの人にとって,それはやはりピンとこないだろうなと思います。言語学は巷では全然理解されていないと思います。

そんなピンとこない方々のために,上に挙げたピンカーの『言語を生みだす本能』はとてもお薦めです。今まで知らなかった学問の世界が開けてきます。

ピンカーみたいに,軽妙な語り口で専門外の人向けに本を書いたり講演をしたり出来る人が,日本の言語学の中にもいたらいいのにと思います。そうしたら,言語学を取り巻く状況はずいぶん変わるんじゃないかと思うのです。

テーマ:心・脳・言葉・人工知能 - ジャンル:学問・文化・芸術

ダンファームリン
ダンファームリン(Dunfermline)という町に行ってきました。エディンバラからフォース湾を挟んで対岸にある町です。電車で30分ぐらいかかります。


フォース湾


↑電車から撮ったフォース湾。右手が川の上流方向(西)。左手が北海の方向(東)です。


ダンファームリン


↑町の中心部。平日の夕方のせいか,閑散としていました。

ダンファームリンは17世紀までスコットランドの首都だったそうですが,今はエディンバラ郊外の小さな町。ウィキペディアによれば,現在の人口は4万5千人ほどだとか。


ダンファームリン・アビー


↑アビー(修道院)。ここにスコットランド独立の英雄,ロバート・ザ・ブルースが眠っているそうです。


アボット・ハウス・ヘリテージセンター


↑アビーの脇にあるアボット・ハウス・ヘリテージセンターに,こんな表示がありました。何語でしょう?昔の英語?それともゲール語?

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