マルソリ・ラボ
言語学、音声学、日本語、韓国語など。
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『アメリカの大学院で成功する方法』
アメリカの大学院で成功する方法―留学準備から就職まで (中公新書) アメリカの大学院で成功する方法―留学準備から就職まで (中公新書)
吉原 真里、Mari Yoshihara 他 (2004/01)
中央公論新社

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私が今いるところはアメリカではなくてイギリスですし,別にこれからアメリカの大学院に行こうと思っているわけでもありませんが,何となく気になって読んでみました。

アメリカの大学院に留学するところから,留学生活,そしてアメリカの大学で教員としてやっていくところまで,著者の経験にもとづいて書かれています。よく聞くことですが,アメリカの大学院は勉強がたいへんなようで。授業の課題として毎日約一冊のペースで本を読むことになり,さらに授業はディスカッション主体。「自分の知力と体力を二〇〇パーセント注いでも,翌日の授業のための課題を読み終えることもできないばかりか,必死に読んでいざ授業にのぞんでみると,ゼミでみんなが話していることがさっぱり理解できなかった。」(p.ii)著者は帰国子女で,おそらく英語はもともとかなり出来たんだと思いますが,そんな人がたいへんだったというと,私ぐらいの英語力だったらいったいどうなることか・・・。

もっとも,専門によってもかなり違うのだろうと思いますが。著者の専門はアメリカ文化研究。文学とも関係あるような分野みたいですし,読むことが全ての基本であるような分野なんじゃないかと推測します。私の専門,言語学ではどうなんだか・・・

ちなみに,私も今学期ここエディンバラで授業を二つ聴講しています。その印象は,上の話とはだいぶ違います。授業は講義で,先生が一方的に話すだけのもの。授業中活発に質問が飛び交うかというと,確かに質問をよくする人はいますが,それはごく一部の人で,大部分の人はとても静かです。リーディングの宿題は出ますが,量は一回がチャプター一つくらい。しかも,みんなちゃんと読んできているのかどうか疑問。私は授業中のリスニングにあまり自信がないので,わりとちゃんと読んでいますが,授業をちゃんと聞いていれば,宿題のリーディングを読まなくてもついていけるんじゃないかと思ったりします。まあ,著者のケースと私が聴講している授業はいろいろ条件が違うので,様子が違うのは当然といえば当然なのですが。私が聴講しているのは博士課程ではなく修士課程の授業だし,そもそもここはアメリカではなくイギリス。大学院のシステムがかなり違います。

さて,本の話に戻りますが,ひとつ興味深かったのは,博士論文のテーマを決める段階で「日本関係トピック」とどう折り合いをつけるかという話。「日本人であるがゆえに,なんらかの形で日本やアジアに関係した分野やトピックを専門にすることを,周囲に期待されがちなのである。」(p.105)これ,言語学の世界でもよくあることだと思います。

言語学の世界だと,例えば日本で英語学を専攻していた人が,アメリカの大学院の言語学科に入り,そこで日本語に関するテーマで博士論文を書くことが,とてもよくあります。指導教授からそうしろと言われるのか,あるいは,英語をテーマにしてもネイティブには太刀打ちできないと,自ら進んでそういうテーマを選ぶのか。当人たちは,どういう気持ちで日本語を研究テーマに選ぶんだろう?もともとは英語が好きで日本で英語学を専攻し,そして英語圏の大学院にまで留学したんだろうに。そんな疑問を,私は昔から持っていました。

そんなわけで,本を読みながらいろいろなことを考えました。アメリカの大学院の様子を(一般化はできないでしょうが,少なくともその一端は)垣間見ることができて,興味深かったです。

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