マルソリ・ラボ
言語学、音声学、日本語、韓国語など。
201710<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201712
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Coetzee & Pater (to appear)
Coetzee, A & Pater, J. (to appear) The place of variation in phonological theory. To appear in the Handbook of Phonological Theory.

これは今度のミーティングでディスカッションすることになる論文。新しく出るThe Handbook of Phonological Theory(第2版)の一つの章で,変異について扱っています。



この論文では,まず音韻論の枠組みを振り返ることから始めている。生成理論における音韻論では一般的に次のような枠組みが想定されている。

lexicon -> early phonology -> late phonology -> phonetic implementation

※early phonology, late phonologyはlexical phonology, post-lexical phonologyと呼ぶことも出来るが,ここでは理論的に中立的な用語としてearly/lateを用いている。

early phonologyとlate phonologyの違いをどう見るかは理論的立場によって様々であるが,一つの大きな違いは,前者が形態論と関わるのに対し,後者が関わらない点にある。そして,変異はlate phonology(ないしphonetic implementation)の問題とみなされがちであった。しかし,この論文では,変異がearly phonologyとも関わることを示している。

具体的な例として英語におけるt/dの脱落を扱っている。この現象は,音声的な現象とみなされることがある(例えば,Browman & Goldstein 1990のデータに基づくBybee 2000の議論)。しかし,実際には形態論と関わることがある。例えば,mistとmissedではmistの方が脱落が起きやすい。これは,前者の/t/が単一の形態素の一部であるのに対し,後者の/t/が独立した形態素を成しているためである。

このような現象を分析するアプローチとして,まずLabov (1969)によるvariable ruleを紹介した上で,OTにおけるpartially ordered constraints (POC) (Kiparsky 1993, Antilla 1997)を紹介している。POCでは,制約の配置が固定されておらず自由に動く部分があり,それによって変異が説明される。

さらに,標準的なOTから離れたアプローチとして,Stochastic OT, Noisy Harmonic Grammar, MaxEnt HGを紹介している。

つづいて,変異における語彙的な要因について論じている。つまり,個々の語彙によって変異の現れ方に違いがあるということである。これに対するアプローチとしては,Pater (2000) によるlexically indexed faithfulness constraintsと,inputにおいてfaithfulnessの強さに関する定数を指定するやり方を紹介している。




OTの話ばかりで,あまり興味が持てず,途中からかなり読み飛ばしてしまいました。OTよくわからないし・・・。ただ,一つわかったのは,OT的なアプローチはいずれも,インプットに変異は認めず,制約の部分で変異を説明しようとするのだということです。

この論文では非OT的なアプローチはほとんど紹介されていませんが,私はむしろ,そっちの方(例えば,BybeeやPierrehumbertのようなexemplar-based model)でどう扱うのかに興味があります。きっと,この論文で扱われているような類の変異は,レキシコンの中に存在していると考えるのでしょうね。

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。