マルソリ・ラボ
言語学、音声学、日本語、韓国語など。
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上野 (1992)
上野善道(1992)「昇り核について」『音声学会会報』199.
を読みました。

議論の大きなポイントは、昇り核の規定に関して、順行的規定(そこから昇る)と逆行的規定(その前を下げる)のどちらがよいかということです。この点に関しては、上野先生自身、逆行→順行というように、考え方に変遷があったようです。(確かに、上野 1977(岩波講座)では逆行的規定をしています。p.300)この論文では、大西(1989)の議論をふまえ、やはり順行的規定でよいと論じています。

さらに、後半では、昇り核の特異性について論じています。昇り核のある方言(雫石方言など)では、有核でのみ言い切り形が下降調になります。これについてこの論文では、昇り核が通時的に下げ核から変化したもので、その名残を今もとどめているためだとしています。

私が一つ興味を持ったのは、昇り核がアップステップを引き起こさないようだという点です(アップステップという用語は用いられていませんが)。とても単純に考えれば、東京方言で下げ核が二つ並ぶとダウンステップが生じるように、昇り核を持つ方言で昇り核が二つ並べばアップステップが生じることが予測されます。でも、この論文を読む限り、どうもそうではなさそうです(p.7左、p.8右~p.9左 参照)。

アップステップというのは、言語によっては確かにあるようです。Kenstowicz and Sohn (1997)は、韓国語大邱方言にアップステップがあると報告しています。日本語の昇り核は、きっとこれとは異なるメカニズムが働いているのでしょう。

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