マルソリ・ラボ
言語学、音声学、日本語、韓国語など。
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Exemplar-based modelに関する本と論文
Exemplar-based modelというのは,音韻論・形態論の領域において比較的最近出てきて,急速に影響力を増している(ように,私には思える)理論です。従来の理論では,レキシコン(つまり,頭の中の辞書)に入っている情報は最小限の抽象的なものだと考えてきました。それに対してexemplar-based modelでは,かなり具体的な音声情報がレキシコンに入っているんだと考えます。

従来の音韻論が後者のような考え方をとらなかったのには,理由がありました。一つの大きな理由は次のようなものです。「そんなに具体的な情報が頭の中に入っているとすると,情報が多すぎて頭がパンクしてしまうよ!」

でも,人間の記憶の研究が進むにつれ,人間の記憶って実はすごいんだということがわかってきました。後者のようなモデルが十分ありえるものとなってきたわけです。

この転換が音韻論の世界で意味することは大きいです。従来の音韻論では,多くの音韻現象は規則や制約によって生じるのだと考えてきました。例えば,「綿菓子」は基底では「わた」+「かし」で,複合語化して2つがくっついたとき,kがgに濁るんだと考えてきました(「連濁」と呼ばれる現象です)。そのための理論的な説明を,いろいろと考えてきたわけです。でも,「わたがし」が最初からそのままレキシコンに入っているならば,そんな説明自体がいらなくなるわけです。

(・・・というわけで,ところどころ聞きかじっただけで実はよく知らないにも関わらず,exemplar-based modelの説明を書いてしまいました。もし間違っているところがありましたら,ご指摘ください。)

従来の生成音韻論の立場からは,いろいろと反論があるでしょう。そして,それに対する答えも,exemplar-based modelの中である程度なされているはずです。また,exemplar-based modelを主張する人たちの中でも,いろいろと議論があるようです。そのへんは,私も勉強しようと思っているところです。

さて,そんな(音韻論・形態論における)exemplar-based modelに関して,文献をいくつか。

Bybeeのexemplar-based modelの話は,以下の本の第二章で紹介されています。

認知音韻・形態論 (シリーズ認知言語学入門 (第2巻))認知音韻・形態論 (シリーズ認知言語学入門 (第2巻))
(2003/07)
吉村 公宏

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アマゾンで調べてみたら,こんな本も最近出ていました。こちらは見ていませんが,もしかしたら関係あるかも。

[講座 認知言語学のフロンティア] 1 音韻・形態のメカニズム (講座認知言語学のフロンティア 1)[講座 認知言語学のフロンティア] 1 音韻・形態のメカニズム (講座認知言語学のフロンティア 1)
(2007/11/21)
上原 聡/熊代 文子

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いちばん良いのは,Bybeeの本を読むことでしょう。・・・というか,私が後で読もうと思っている本です。

Phonology and Language Use (Cambridge Studies in Linguistics, 94)Phonology and Language Use (Cambridge Studies in Linguistics, 94)
(2003/03)
Joan L. Bybee

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あと,exemplar-based model = Bybeeというわけでもなくて,例えばPierrehumbertのexemplar-based modelなんかは,またちょっと違うらしいです。こちらも関心があります。

Pierrehumbert, J. (2001) Exemplar dynamics: Word frequency, lenition and contrast. In J. Bybee & P. Hopper (eds.) Frequency and the Emergence of Linguistic Structure. Amsterdam: Benjamins. 137-157.

Frequency and the Emergence of Linguistic Structure (Typological Studies in Language)Frequency and the Emergence of Linguistic Structure (Typological Studies in Language)
(2001/02)
不明

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さらに遡ると,Keith Johnsonの論文が関係するようです。

Johnson, K. (1997) Speech perception without speaker normalization. In K. Johnson & J. W. Mullennix (eds.) Talker variability in speech processing. San Diego: Adademic. 145-165.

Talker Variability in Speech ProcessingTalker Variability in Speech Processing
(1997/01)
不明

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