マルソリ・ラボ
言語学、音声学、日本語、韓国語など。
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疑問詞スコープなどにおける高平のピッチ(金次均 2002より)
慶尚道のいろいろな方言において,疑問詞のスコープが高く平らなピッチを示すことが知られています。久保智之先生がいろいろ発表されていて,以前にそれについての記事を書きました。例えば,

(1) 김치 물래? (HLHL) (キムチ食べる?)
(2) 무슨 김치 물래? (LHHHHL) (何のキムチ食べる?)

という具合です。本来のアクセント・トーンが失われてしまうのが特徴です。

似たような現象は福岡方言にもあることが知られていて,これもやはり久保先生が論文を書いています。福岡方言についてはさらに,Jennifer Smith氏が論じたり,五十嵐さんがフォーカスと絡めて分析したりしています。そんなわけで,けっこう話題の現象なわけです。

さて,この現象,今読んでいる金次均(2002)でも取り上げられていました(記事12)。慶尚道の昌原方言に関してです。データがいろいろ出ていました。

私が興味を持ったのは,この方言では似たような現象が疑問詞のスコープ以外にも観察されることです。取り上げられていたのは以下の副詞。(丸括弧内は標準語形)

안 [p.294ff.]
잘 [p.300f.]
잘몬 (잘못) [p.300f.]
더 [p.300f.]
고마/고만 (그만) [p.300f.]

いずれの場合も,後続の語(ときとして2語以上)までが1つの単位にまとまり,LH...HL(金次均氏にしたがえばMH...HM)というピッチをとります。後続語の本来のアクセント・トーンが失われること,次末音節から最終音節にかけて下降が現れることが特徴です。

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