マルソリ・ラボ
言語学、音声学、日本語、韓国語など。
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김차균 (2002) 第1章~第4章
ここのところ、慶尚道方言のアクセント・声調(日本では「アクセント」、韓国では「声調」と呼ぶのが一般的のよう)に興味を持っています。とはいえ、これについてほとんど何も知らないため、まず概略的なことや研究の流れを把握しておきたいと思い、選んだのが以下の本です。

김차균 (2002) 국어 방언 성조론. 서울: 역락.

著者は慶尚道方言の声調研究で有名な人で、その著者による最近の著作が上の本というわけです。

ただ、途中まで読んでみた印象では、上に書いたような目的には向かない本のようです。著者独自の論が最初から展開されています。(しかも、かなり癖のある論という印象を受けました。)

この本では主に扱われているのは、慶尚北道の성주(星州)方言と慶尚南道の고성(固城)方言です。手持ちの地図では位置がよくわからなかったのですが、ウィキペディア韓国語版で慶尚北道と慶尚南道を調べてみると、それぞれ地図が出ていました。星州郡は金泉市の南、固城郡は馬山市の西にあります。

ウィキペディア(韓国語版):慶尚北道
ウィキペディア(韓国語版):慶尚南道

さて、今日とりあえず第1章~第4章まで読み終えました。以下はそのメモです。

第1章:序論

第2章:子音と母音およびその表記法
特にㅅが平音か激音かという問題がやや詳しく扱われています。... この問題は、韓国でも日本でもアメリカでもよく論じられていますが、結局のところ、音韻論的には平音的な特徴を持ち、音声学的には激音的な特徴を持っているわけで、そのどちらをとるかということになると、議論は当然ながら平行線をたどると思います。この問題については、私の博士論文でも言及しています。(そこでは、不完全指定によって解決する立場をとりえあず支持しましたが、、、)

第3章:傍点法と中和
ここでは、傍点法という訓民正音で用いられた方法を現代に復活させて表記しようという提案がなされています。著者の提案する現代慶尚道方言の声調記述における傍点法というのは、この章を読んだだけではよくわかりません。後の章を読んで、少しだけわかってきました。でもまだ、よくわかりません。

第4章:声調形とその実現
ここでは、第3章の傍点法とは別に、HL式の基底表示が示され、そこから表層表示を導く規則が提案されています。基底表示や表層表示の示し方もかなり独特です。私の頭の中はずっと混乱しっぱなしで、星州方言と固城方言の体系が全然つかめません。

ところで、この章の最初の方に出てくる以下の話に興味を持ちました。
記述における基準の重要性をとくところで、同じ語でも先行研究によって記述が違うことが示されている箇所(大邱方言に関して)。以下はその引用です。(p.28 拙訳。なお、傍点は省略。)
(21) 音韻論的高低に対する基準の違い
/참새/, /무지개/, /물사마구/
ㄱ. 김영만 (1986) は「これらの最初の2音節が[高]の高さまでにはならないが、3番目以下の音節より低くはない。」と述べている。他の要素を省略しこれらの高低のみにより表示するならば「참새 [LL]」「무지개 [LLL]」「물사마구 [LLLL]」となりそう。
ㄴ. 김경란 (1988) は「これらは最初の2音節が/노래/(HL)や/까마구/(LHL)における[H]よりは多少低いが、それでもやはり高調である。」と述べている。「소 [H]」「참새 [HH]」「무지개 [HHL]」「물사마구 [HHLL]」と記す。

私が興味を持ったのは、HHLLのようなタイプにおけるHHがさほど高くないという話です。このタイプは、私の理解している限り、慶尚道方言のアクセント研究でよく無核と解釈されるものです。日本語のアクセントの分析に慣れていると、HHLLが無核というのは奇異に感じるのですが、さほど高くないのであれば、納得がいきます。この場合の表示をどうすべきかは、研究を進めていけば解決するでしょう。

短いメモにするつもりが、書いてみたらなんだか長くなってしまいました。そのぶん、時間もかなりかかりました。こんな調子でやっていたら、ブログは長続きしないかも、、、

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