マルソリ・ラボ
言語学、音声学、日本語、韓国語など。
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H*とL+H*/normalとemphatic
今参加している勉強会の一つで発表の順番がまわってくるので、最近読んだLadd and Morton (1997) を取り上げることにしました(この論文については、以前の記事の中でまとめました)。それでここのところ、この論文をざっと読み直し、ハンドアウトを作ってました。

そんな中で気になったことが一つ。ずいぶん前の記事の中で書いたことが、もしかしたら誤解なのかも、ということです。そこでは、こんなことを書きました。

L+H*とH*に関しては、Ladd (1996)やLadd and Morton (1997)が、範疇的に異なるのではないという議論をしています。


今日思ったのは、Ladd and Morton (1997) が扱っているnormalとemphaticの間の範疇性の問題と、L+H*とH*に関する問題は別の問題なんじゃないかということです。一方で、Ladd (1996) は、L+H*とH*に関して確かに論じていたと思うのですが、、、(記憶がちょっとあやふやですが)

ついでに言うと、英語のダウンステップに関するPierrehumbertとLaddの間の議論も、私の頭の中では上の問題とごっちゃになっています。

関連する論文を丁寧に読み直していけばわかることでしょうが、今はなかなかそちらの方にまで手がまわりません。そもそも、英語のイントネーションに関しては専門外ですし。誰か親切な人が教えてくれるかも…と、あわい期待を抱いてここに書いてみました。

コメント
この記事へのコメント
はじめまして。マサチューセッツ大のしんやといいます。少し前の話ですが、ちょっとコメントさせてください。

英語のH*とL+H*、normalとemphaticについてですが、これは音声学的に言えば横(alignment)と縦(pitch range)の関係になるので、分けて考えるべきだと思います。しかし、音韻的に言えば、H*とnormal、L+H*とemphaticは関係があります。Pierrehumbert & Hirschberg (1990)では、H*は談話上の新情報を表すときに使われ、L+H*は対比フォーカスを表すときに使われると言っています。今ここで議論しているnormalを新情報にemphaticを対比フォーカスに置き換えて理解するなら、H*とnormal、L+H*とemphaticというのは密接な関係にあるということになると思います。ただ、H*と新情報、L+H*と対比フォーカスという結びつきは実際の発話では「傾向」として理解する方が適切で、それぞれを同一視するのは行きすぎだと思います。だから、Selkirk (2002)でも、ピッチアクセントは対比フォーカスが置かれていても、L+H*だけではなく、H*!やH*が観察されたのでしょう。

それから、PierrehumbertとLaddの英語のダウンステップに関する議論についてですが、まずPierrehumbertに関して、これはPierrehumbert (1980) Beckman & Pierehumbert (1986)ではダウンステップのtriggerが違っています。前者ではH*+Lの後のみ、後者ではすべてのbitonalピッチアクセントの後で起こるとしています。これに対してLaddは、ダウンステップは特定のトーンの連鎖によって引き起こされるものではなく、独立した現象であると言ってます。つまり、triggerが何かとか、そういう何か特定の条件で起こるものではないということです。この意味では、英語のToBIでの扱い、つまり、!H*を独立したトーンのカテゴリーとして認めるという立場に近いと思います。ただ、Laddの場合は!H*を認める扱いではなく、発話のトーン相対的な高さを決めるmetrical treeに似た音韻表示が別にあって、そこでどのトーンがダウンステップしているかが決まるとしています。今現在Laddがどういう考え方をしているかどうか分かりませんが、少なくともLadd (1996)まではそんなことを言っていました。
2006/08/11(金) 08:02:25 | URL | Taka Shinya #-[ 編集]
Re:
> しんやさん

丁寧なコメントありがとうございます。だいぶ整理がついてきました。

H*は新情報、L+H*は対比フォーカスで起こりやすいということですね。Pierrehumbert and Hirschberg (1990)は昔読んだと思うのですが、すっかり忘れてました。ただ一方で、じゃあLadd and Morton (1997)の言うところのnormal/emphaticは新情報/対比フォーカスと同じなのだろうか、という疑問が出てきます、、、

ダウンステップに関しては、例えばここで問題のH*とL+H*に関して言えば、Beckman and Pierrehumbert (1986)に従えばH*はダウンステップトリガにならないが、(bitonalである)L+H*はダウンステップトリガになるということですね。
2006/08/11(金) 08:43:33 | URL | A. Utsugi(管理者) #8EAyzQTQ[ 編集]
Ladd & Morton (1997)のnormalとemphaticというのは単にピッチレンジのこと、つまりピッチの縦方向だけの変動を指しているみたいですね。この論文のp316のHirschberg & Ward (1992)に関する議論から分かります。英語のL*+H L- H%のイントネーションパターンで、L*+HのF0ピークが低いときはucertaintyの意味合いが出て、F0ピークが高いときはincredulityの意味合いが出るというところです。

つまり、Ladd & Morton (1997)の言うemphaticは、対比とは関係ないみたいですね。emphaticと対比フォーカスが似たような意味で使われることも多いので、紛らわしいですね。あと、彼らのExperiment 3でpeak alignmentを扱っていることも読者を混乱させているような気もします。同時に彼らのnormalというのも新情報との関連を想定してはいないでしょう。
2006/08/11(金) 11:04:28 | URL | Taka Shinya #-[ 編集]
Re:
つまり、H*のような特定のピッチアクセントに限らず、縦方向への変化を指して、普通のもの(normal)と縦方向に拡大したもの(emphatic)を区別しているというわけですね。たまたま実験の中ではH*を取り上げているだけのことで。

実験の中では、H*のpitch rangeを拡大したり、alignmentをずらしたりしているだけで、L+H*はここではひとまず関係ないわけですね。
2006/08/12(土) 21:25:18 | URL | A. Utsugi(管理者) #8EAyzQTQ[ 編集]
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